行政書士試験は60%得点で合格するという国家資格の中でも標準的な合格点ですが、

科目ごとの足切があり、記述も出題されるので、択一式のみの試験とは大きく難易度が異なります。

行政書士試験は平成18年度から試験制度が大きく変わり、過去問が10年分しかないので過去問からの対策がしにくく、難易度をあげております。

出題科目数は憲法6問、民法11問、行政法22問、商法会社法5問、基礎法学2問、一般知識14問です。

行政法は過去10年分の過去問で220問出題されているので出題傾向がつかみやすいですが、基礎法学は10年で20問しか出題されていないので全く見たことのない問題が出題される可能性が高いです。

学習プランは基本的には配点に応じて学習時間を割り振っていきますが、特に民法と行政法の学習を多く行います。

商法会社法に関しては、1000条近くある膨大な大法典です。しかし、出題が5問だけであり、過去問も安定していないので、過去問だけのチェックで済ませても問題はなさそうです。うまくいって2問取れれば上出来と言えるでしょう。

出題頻度が高く確実に取りたい問題をAランク、合否が分かれる問題をBランク、捨て問をCランクとします。

捨て問はしっかりと捨てていくことが試験では大切ですが、学習時間を減らしていいわけではありません。

重要度の低い科目の学習時間を重要度の高い科目へ費やすことによって合格可能性を少しでもあげましょう。

以下、科目ごとのおすすめ学習プランです。

憲法

憲法は5肢択一5問、多肢選択1問の計28点分の出題です。

300点満点の28点分ですので、配点は低めですが、出題が非常に安定しており、記述が出ないので確実に取れる科目と言えます。

憲法の理念は行政法にも活かされていますので、配点は低いですが、しっかりと学習を行っておいた方が行政法が楽になります。

判例問題から2、3問、条文問題から2、3問が出題されますが、合わせて4問以上は得点したいところです。

判例問題は、基本的に判例付き六法に乗っている名前のついた判例(○○事件など)はすべてAランクですので、判例名、判旨、結論までしっかりと理解しておきます。。Bランクの問題は要旨をチェックし、結論だけ覚えます。Cランクの問題は憲法の理念をなんとなく読み取れるようになれば十分です。

条文問題はどんな問題が出ても確実に得点できるようにしておきたいところです。憲法は100条あまりしか条文がなく、出題対象となる条文は30条程度ですので、条文すべてを暗記する受験生もいるほどです。すべてを暗記するのはやりすぎですが、条文問題はあいまいな知識より、確実な知識を1つでも増やした方が合格力があがります。条文問題は判例問題に比べ、乾燥無味な感じがあるので、条文問題が苦手だと感じたらその分を民法で埋め合わせましょう。

民法

民法は過去問が100問ほどあるので、出題が安定しており、公務員試験や司法試験と似通った問題が多く出るので、対策がしやすくあります。

民法は行政書士として仕事に就く際にも必須な知識でもありますので、力を入れて学習しましょう。

しかし、民法は条文も判例も多い複雑な法律ですので、民法の中でも自分が取りやすいと感じた分野を多めに学習し、苦手分野は合格後に学習してもいいでしょう。それに記述が2問(計40点)出題されるので用語や漢字を正確に覚える必要があり、学習時間を多めに割り振っても裏切られる可能性があります。満点76点中50%程度得点できるようになったら民法のいったん学習をやめ、ウエイトの高い行政法の学習に多くの時間を費やします。Aランクの問題は確実に覚え、Bランクは目を通し、Cランクは捨て問でかまいません。

行政法

行政法は出題数、配点が最も多く、行政法を制する者が行政書士試験を制すると言っても過言ではないです。過去問も多く、演習素材が多くあるので、安定した得点が見込めそうです。

しかし、行政書士試験での行政法は、行政法を出題する試験の中で最も難易度が高く、かなり細かな個所まで問われます。

試験勉強の大部分を費やし、80点(112点満点)以上を安定して得点できるまで学習を続けます。

行政法は憲法の概念とよく似ているので、憲法の理解を深めると行政法の理解も深まります。行政法の学習につまったら憲法の学習に戻りましょう。

行政法にCランクの問題はありません。過去に出題された個所はその関連知識もしっかりと整理しておきます。

商法・会社法

商法会社法は条数が1000を超える大法典なのに出題が5問(25点)のみなので過去問だけのチェックでいいでしょう。

学習時間と得点率がまったくつりあっておりません。

5問中2問取れれば上出来です。確率的に1問は感で選んでも取れるので、1問を実力で取れれば十分です。Aランクのみの学習でかまいません。

危うく5問とも間違えてもいいように、ウエイトの高いほかの科目で安定して得点できるように頑張ります。

基礎法学

基礎法学は過去問が少ないので対策が難しいです。法学の基礎は普段の他の学習で身についているはずなので、特に基礎法学の学習は必要なさそうです。2問しか出題されないのであまり神経質になる必要はありません。

一般知識

行政書士試験の最大の番人です。足切ラインがあるからです。

行政法や民法はしっかりと取れていたのに一般知識の足切に引っかかったという話をよく聞きます。

一般知識は全部で14問出題されますが、出題対象が多すぎて、対策が難しくあります。

普段から新聞やニュースをチェックしておきます。特に法律関係の記事は意識して目を通すようにしましょう。

足切にかからない7問程度取れれば十分ですし、それ以上の得点を目指すと他の科目がおろそかになってしまいます。